高校での生成AI活用、わずか1年で意識が激変
> 旺文社が実施した2026年度の高校ICT・AI活用実態調査によると、生成AIの活用意識がこの1年で大きく変化しました。全国547校からの回答をもとに、10年間のICT教育の変遷と、教育現場で起きている生成AI活用の転換点が明らかになっています。
全国547校が回答、10年目の大規模調査
教育出版大手の旺文社は、2026年2月に高等学校におけるICT機器やサービスの導入・利用状況、生成AIの活用実態について全国調査を実施しました。今回で10回目となるこの調査では、全国547校の高等学校から回答を集計し、直近の実態だけでなく、10年間の推移データをもとにした動向分析も行われました。調査は2024年12月上旬から2025年1月中旬にかけて実施され、GIGAスクール構想やコロナ禍を経た学校現場の大きな変化をデータとして可視化しています。ICT端末の1人1台配備率は95.1%に達し、生徒用端末としては「タブレット型PC」が高い支持を得ています。費用負担については「個人負担・学校指定端末」が39.9%で最多となり、「学校負担・学校指定端末」は28.9%と前年度から4.5ポイント減少しました。一方で「個人負担・機種指定なし」が23.2%と4.6ポイント増加しており、端末配備の費用負担が「学校」から「個人(家庭)」へ、機種選択が「学校指定」から「個人の自由」へと構造変化が進んでいることが明らかになりました。
生成AI活用が1年で大幅進展、中間層が7〜8割
今回の調査で最も注目すべき結果は、生成AIの活用状況における劇的な変化です。昨年度から継続して実施された生成AIに関する設問では、「授業や生徒指導にかかわる校務」「学校運営にかかわる校務」「学校行事や部活動」「保護者への対応」の4つすべての項目で、「まあまあ活用できている」の回答割合が大幅に増加し、「まったく活用できていない」の割合が大幅に減少しました。特筆すべきは、すべての項目で「十分活用できている」「まあまあ活用できている」の合計が4割を超えたことです。さらに「まあまあ活用できている」「あまり活用できていない」という中間回答層の合計割合が7〜8割を占めており、生成AIの活用実態が過渡期を迎えている様相が浮き彫りになっています。特に「授業や生徒指導にかかわる校務」では、「あまり活用できていない」の割合も減少しており、わずか1年でAI活用が大きく進んだことがうかがえます。この背景には、生成AIを安全に利用するための環境整備や、具体的な活用事例の共有が進んだことがあると考えられます。
ICT価値の見直しと今後の課題
調査では、「ICT活用の必要性を感じるポイント」についても興味深い変化が見られました。昨年度に減少傾向にあった「映像授業・動画視聴」「オンライン遠隔授業」「リモートでの課題配信」「生徒・保護者への連絡」が、それぞれ4〜7ポイント程度増加しています。脱コロナで見られていた「リアル回帰」の傾向から一転して、コロナ禍の期間に見られたような需要の揺り戻しが起きている状況です。生成AIなどの新技術・サービスの利用が進んだことで、ICTだからこそ実現できることの価値が改めて見直されていると分析されています。また「情報・探究などの授業」は62.3%と昨年度から2.1ポイント増、「クラブなど課外活動」も18.5%と昨年度から4.6ポイント増となり、学校生活のあらゆる場面にICT活用が根付いてきていることがわかります。一方で、校内ネットワーク環境の整備率は高止まりしているものの、通信品質の改善は依然として課題として残っています。旺文社は今後も各高等学校の実情に則した教育ICTサービスの提供と、活用のためのサポートに取り組んでいくとしています。
💡 先生へのポイント
生成AIの活用は、授業準備の効率化や生徒指導の質向上に大きな可能性を秘めています。ただし、個人情報保護や著作権への配慮、生徒への適切な指導が不可欠です。まずは校務での小さな活用から始め、成功事例を共有しながら段階的に導入を進めることがポイントです。ICTと生成AIを組み合わせることで、「情報」や「探究」の授業だけでなく、すべての教科で新しい学びの可能性が広がります。先生方の負担軽減と生徒の学びの質向上の両立を目指して、できることから取り組んでみてはいかがでしょうか。
まとめ
2026年度の調査で、高校における生成AI活用が1年で劇的に進展したことが明らかになりました。ICT端末の配備は95%を超え、生成AIの活用意識も大きく変化しています。今後は通信環境の改善や安全な利用ルールの整備が課題となりますが、教育現場でのICT・AI活用は新たな段階に入ったと言えるでしょう。
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出典: 株式会社旺文社プレスリリース「【2026年度】全国の高等学校におけるICT・AI活用実態調査」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000341.000055026.html



