この度、高校生・大学生の開発コミュニティから、進路支援AI、調理支援ロボット、ハルシネーションを逆手に取った百科事典の3サービスが登場しました。探究学習やPBL、生成AI活用の授業設計を考える際のヒントになりそうです。
学生発のAIサービスが3本同時に登場
スタディメーター株式会社(東京都千代田区)が支援する高校生・大学生のビジネスコミュニティ「First off Projects」から、課題意識を出発点にした3つのAIサービスが発表されました。テーマは進路、料理、そしてAIの“嘘”です。いずれも単なるデモではなく、日常の困りごとを技術でどう解くかを考えた実践例として注目できます。
進路選択を“事例ベース”で支える未来ナビしろちゃん
「未来ナビしろちゃん」は、進路相談AIをリニューアルしたWebサービスです。従来の対話機能に加え、特徴的な進路を選んだ実在人物やAIペルソナの事例を集めた「進路図鑑」を搭載し、図鑑内の先輩についてAIと対話できるようになりました。
開発の背景には、利用者が「進学するかどうか」よりも、「何を専攻するか」「どの学校を選ぶか」といった具体的な選択で悩んでいるという観察があります。進路を“正解探し”としてではなく、“未来の可能性を具体化する対話”として扱う設計は、キャリア教育や探究学習とも相性がよさそうです。
調理中の検索を減らすAIクックバディ つくるーん
「つくるーん」は、内蔵カメラで調理の様子を認識し、マイクとスピーカーで会話しながら料理を支援するAIロボットです。手を使わずに質問できるため、調理中にスマートフォンを触りにくい場面でも使いやすい設計になっています。
開発者は一人暮らしでの料理中に、毎回スマホで手順を確認する不便さを感じたことから着想したといいます。プログラムだけでなく電子工作や3Dモデリングも取り入れ、約4カ月でプロトタイプを完成させた点は、STEAM型学習の事例としても参考になります。
ハルシネーションを逆手に取る百科事典 ハルシニカ
「ハルシニカ」は、検索するとAIが意図的にもっともらしい誤情報を返す、逆転発想の百科事典です。通常は課題とされるハルシネーションを、あえてエンターテインメントとして楽しむ設計にしています。
AIの弱点を“排除すべきもの”としてだけでなく、“特性として理解する対象”に変える発想は、生成AIリテラシー教育にもつながります。正確性の担保が重要な場面と、あえて不確かさを体験として扱う場面を分けて考える視点が得られます。
展示の場で開発者と直接話せる
これら3サービスは、2026年4月25日・26日に幕張メッセで開催される「ニコニコ超会議2026」で展示予定です。First off Projectsのブースでは、ほかにも学生開発の10サービスを体験でき、開発者本人から背景や工夫を聞くこともできます。
学校現場や塾、EdTech事業者にとっては、完成品そのもの以上に、「なぜその課題を選んだのか」「どう使われることを想定したのか」を学べる機会になりそうです。生徒の探究テーマ設定や、プロダクト開発型学習の企画にも応用しやすい事例です。
💡 先生へのポイント
- 進路指導では「どこへ進むか」だけでなく「その先の生活像」まで言語化させると、AI対話が深まりやすい
- 生成AIの授業では、正確な回答を求める使い方と、ハルシネーションを理解する体験を分けて設計すると効果的
- 料理支援ロボットのように、日常の不便を起点にした探究課題は、技術・生活・デザインを横断して学びやすい
- 学生開発の事例は、完成度だけでなく「観察→課題設定→試作」の流れを評価軸にすると扱いやすい
まとめ
高校生・大学生が作った3つのAIサービスは、進路、料理、情報の信頼性という身近なテーマを、実装を通じて問い直す好例です。教育現場でも、AIを“使う”だけでなく“どう捉えるか”まで含めて学ぶ題材として活用しやすい内容でした。
出典:進路・料理・“嘘”をAIで再発明 - 高校生・大学生が開発した3つのサービスを公開 | スタディメーター株式会社のプレスリリース https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000057.000090606.html




