名古屋市教育委員会が、今年4月から市立全小・中学校の不登校支援にAI教材「すらら」を採用しました。場所に縛られない学習機会の保障や、学習履歴の可視化を通じた支援設計に注目が集まります。
「学校復帰」から「社会的自立」へ市の支援方針転換
名古屋市では、不登校児童生徒数の増加を背景に、支援の考え方を「学校復帰」中心から「社会的自立」を最上位に置く方向へ見直しています。2025年3月には「なごやハートプラン」を策定し、校内の居場所づくり、教育支援センターの機能拡充、メタバースを活用したオンライン支援、民間団体との連携など、多層的な支援を進めています。
市内の小・中学校では2025年度に不登校児童生徒数が6,000人を超え、学びの選択肢を広げる必要性が一段と高まっています。学校に行く・行かないにかかわらず、学習機会をどう保障するかが大きなテーマになっています。
「すらら」が担う場所に依存しない学びの継続
今回導入された株式会社すららネット(東京都千代田区)が提供するAI活用型アダプティブ教材「すらら」は、学習者の理解度に応じて内容や難易度を調整しながら進められるICT教材。自宅や校内の教室以外の居場所など、児童生徒の状態に合わせた場所で学習を続けやすい点が特徴です。
教材にはレクチャー、ドリル、テストの機能があり、理解から定着、活用までを一連で支えます。初めて学ぶ内容でも一人で進めやすく、学び直しが必要な児童生徒にも使いやすい設計です。
学習履歴の蓄積が支援の判断材料に
同教材は、学習履歴や進捗データを蓄積できるため、学校や教育委員会が児童生徒の学習状況を把握する際の参考にもなります。こうしたデータは、自宅等でのICT学習を出席扱いとするかどうかの検討材料としても活用が想定されています。
不登校支援では、単に教材を渡すだけでなく、学習の継続状況を見取り、本人の努力をどう評価するかが重要です。今回の導入は、ICTを使った「学びの見える化」を支援に組み込む動きとしても注目できます。
全国で広がる不登校支援のICT活用
同社はこれまで、不登校支援や学び直しの現場で導入実績を重ねてきました。今回の名古屋市での全市立小・中学校導入は、自治体レベルでICT教材の有効性が評価された事例といえます。
なお同社は、国内3,100校以上の学校や学習塾で利用され、約26万人の児童生徒が学習しているとしています。公立学校だけでなく、私立校、学習塾、放課後等デイサービスなど、幅広い現場での活用が進んでいます。
現場にとっての示唆は何か
同市の事例は、不登校支援を「登校できるかどうか」だけで捉えず、学びの継続と社会的自立をどう支えるかへ視点を広げる動きとして参考になります。ICT教材は、その中で個別最適な学習と記録の両面を支える基盤になり得ます。
自治体、学校、家庭が連携し、子ども一人ひとりに合った学び方を設計することが、今後ますます重要になりそうです。
💡 先生へのポイント
- 不登校支援では「授業に戻す」だけでなく、学びを止めない仕組みが重要です
- ICT教材は、自宅学習や別室学習の継続支援に活用しやすいです
- 学習履歴を残せる教材は、支援会議や出席扱いの検討材料にもなります
- まずは短時間・低負荷で始め、児童生徒の成功体験を積み上げる設計が有効です
まとめ
名古屋市は今回、不登校支援を社会的自立を見据えた多層的な支援へと進め、その一環として「すらら」を市立全小・中学校に導入しました。場所に縛られない学びと、学習状況の可視化を両立できる点が、現場での活用価値につながっています。
不登校支援におけるICT活用は、今後も自治体や学校にとって重要な選択肢になりそうです。
出典:名古屋市、市立全小・中学校の不登校支援に「すらら」を採用 | 株式会社 すららネットのプレスリリース https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000616.000003287.html




