日本語指導が必要な児童生徒や外国にルーツを持つ保護者とのやり取りを支える、60言語対応のリアルタイム双方向通訳機能の体験版が始まります。面談や生活指導、校内相談での活用可能性を、学校現場の視点で整理します。
多言語対応の“日常業務”に新しい選択肢
スタディポケット株式会社(東京都千代田区)は、学校向け生成AIサービス「スタディポケット for TEACHER」に、60言語対応のリアルタイム双方向通訳機能「AI通訳」を追加すると発表しました。体験版は2026年6月1日から7月31日正午まで、既存の教員アカウント向けに追加費用なしで提供されます。
学校現場では、日本語指導が必要な児童生徒への声かけだけでなく、保護者面談、生活指導、進路相談、保健室や事務室での対応など、授業外も含めて多言語コミュニケーションが必要になる場面が増えています。通訳者や母語支援員を常時確保しにくい学校にとって、教員の端末でその場の会話を補助できる仕組みは、実務上の助けになりそうです。
どんな場面で使いやすいのか
この機能は、選択した2言語間で音声をリアルタイムに認識し、原文と通訳結果を画面表示する仕組みです。日本語、英語、中国語、ポルトガル語、フィリピン語、ベトナム語、スペイン語、韓国語など、学校でニーズの高い言語を含む60言語に対応します。
特に学校向けとして注目したいのは、単なる翻訳機能ではなく、対面で見せやすい画面設計が意識されている点です。通常表示に加え、相手側からも読みやすい「対面モード」、教室や面談室で見やすい「全画面モード」、文字サイズ変更に対応しており、タブレットを挟んだ三者面談や短時間の相談にも使いやすい構成です。
また、発話が話者ごとに色分けされ、通訳セッションの履歴を後から確認できるため、「その場では分かったつもりだったが、後で内容を整理したい」というケースにも向いています。保護者対応や支援会議前の確認などで、記録補助としての活用も考えられます。
授業・面談で重要な“学校環境での使いやすさ”
学校での音声認識は、静かな会議室だけを前提にすると実用性が下がります。今回の機能は、教室や面談室のように周囲の音がある環境、早口、話者の切り替わり、複数言語が混ざる発話など、実際の学校で起こりやすい状況を想定しているとされています。
さらに、教科語彙や学校生活で使う語彙を踏まえた通訳を目指している点も、現場では見逃せません。数学・理科・社会の用語、学校独自の説明、生活面の指導などは、一般的な翻訳アプリでは伝わりにくいことがあります。教科横断で使える設計が進めば、授業中の個別支援や、転入直後の児童生徒への説明にも活用の幅が広がりそうです。
導入前に確認したい情報管理と運用面
学校でAI通訳を使う際に最も気になるのは、児童生徒や保護者に関する情報の扱いです。発表では、音声そのものはスタディポケット側で保存しない設計で、利用者が後から確認できるよう、通訳セッションのテキスト結果や話者情報、利用時間など限定的な情報を保持するとしています。
一方で、面談記録や校内相談に使う場合は、学校や自治体の個人情報保護方針、校内ルールとの整合確認が欠かせません。どの場面で使うか、誰が履歴を閲覧できるか、正式記録として扱うのか補助メモにとどめるのか、といった運用整理は事前に必要です。便利さだけでなく、説明責任を果たせる形で試すことが重要です。
体験版は“試して見極める”機会
今回の提供は正式製品版ではなく、学校現場での活用場面や必要機能、導入規模、価格設計を探るための体験版です。既存利用校は特別な設定なく試せるとしており、未導入の自治体・学校法人・学校も問い合わせに応じて体験用アカウントの相談が可能です。
現場としては、「どれだけ翻訳できるか」だけでなく、「誰の負担が減るのか」「どの場面なら安全に使えるのか」「通訳者・支援員の代替ではなく補完として機能するか」という視点で評価したいところです。特に、保護者連絡、初期面談、保健室対応、留学生受け入れ、授業中の個別フォローなど、用途を絞って試すと導入判断につながりやすくなります。
💡 先生へのポイント
- まずは保護者面談、転入時説明、保健室対応など短時間で目的が明確な場面から試す
- 翻訳結果をそのまま確定情報にせず、重要事項はやさしい日本語や書面でも補足する
- 利用前に、履歴の扱い・端末管理・個人情報の扱いを校内で確認する
- 通訳者や支援員の代替ではなく、日常の“すき間支援”として位置づけると運用しやすい
まとめ
60言語対応のリアルタイムAI通訳は、日本語指導が必要な児童生徒や保護者との日常的なやり取りを支える新たな選択肢になりそうです。無償の体験期間を活用し、学校ごとの課題に合う場面と運用ルールを見極めることが、実装の第一歩になります。
出典:スタディポケット、学校現場で使える60言語対応のリアルタイム双方向通訳「AI通訳」を発表。製品化に先立ち、全教員アカウント向けに体験版を無償提供 | スタディポケット株式会社のプレスリリース https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000085.000049664.html




