私立中高の保護者調査で今回、教員の多忙さを約7割が実感し、約6割が教育や指導の質への影響を不安視していることが分かりました。学校DXを進める際に、どの業務から着手すべきかを考える材料になる調査です。
保護者の約7割が教員の忙しさを実感
システックITソリューション株式会社(岡山県津山市)が2026年5月26日~29日にかけて実施した、私立中学校・高等学校に子どもを通わせる保護者1,002人を対象にしたインターネット調査から、教員の多忙化が保護者にも明確に認識されている実態が見えてきました。特に注目したいのは、多忙さそのものへの共感にとどまらず、それが子どもへの教育の質に影響するのではないかという懸念が広がっている点です。
「学校の教員に業務の多忙さを感じるか」という問いに対し、「頻繁に感じる」21.0%、「ときどき感じる」45.8%で、合計約7割が教員の忙しさを感じていると回答しました。
多忙さを感じる理由としては、「生徒一人ひとりへの対応に余裕がなさそうだった」が44.8%で最多でした。続いて「行事前後に慌ただしさを感じた」34.5%、「授業以外の事務作業に追われている様子だった」29.3%が挙がっています。
保護者が見ているのは、単なる忙しそうな雰囲気ではなく、子どもへの個別対応にしわ寄せが出ていないかという点です。学校現場の業務負担が、外部からも可視化されていることを示す結果といえます。
懸念の中心は「きめ細かな対応」の不足
教員の多忙さが教育や指導の質に影響する不安については、「よくある」14.2%、「たまにある」44.8%で、約6割が不安を抱えていました。
具体的な懸念として多かったのは、「個別の学習状況への対応が十分でなくなる」45.7%、「子どもの小さな変化や悩みに気づきにくくなる」45.2%、「進路指導の質が低下する」38.1%です。
この結果から、保護者が重視しているのは一斉指導の質だけではなく、学習面・生活面・進路面での個別最適な支援であることが分かります。教員の時間不足は、学力だけでなく生徒理解や伴走支援の弱体化として受け止められているようです。
教員に増やしてほしい時間は事務ではなく対話
「教員にもっと時間を使ってほしい業務」では、「生徒との対話・コミュニケーション」37.1%が最多で、「個別の学習指導・フォロー」31.9%、「進路指導・キャリア相談」26.3%が続きました。
保護者の期待は明確です。教員には、紙の処理や連絡の分散対応よりも、生徒と直接向き合う時間を増やしてほしいということです。学校にとっては、校務改善や業務削減を“効率化”の話で終わらせず、“対話の時間を取り戻すための設計”として位置づけることが重要になります。
学校DXの遅れとして見られるのは情報の分散
学校からの連絡や各種手続きについて、約4割の保護者が「デジタル化が進んでいない」と感じていました。その理由は、「学校からの連絡手段が複数に分散している」32.0%、「紙のプリント配布や回収が多い」31.5%、「提出物や書類のやり取りが手作業で煩雑」30.4%です。
つまり、保護者が不便さを感じているのは、単に紙が残っていることだけではありません。メール、紙、アプリなどに情報が散在し、確認や対応の手間が増えていることが課題になっています。
また、デジタル化で充実してほしい内容としては、「テスト結果や成績の推移の確認」33.2%、「宿題・提出物の状況管理」24.9%、「日々の学習進捗の可視化・共有」22.8%が上位でした。保護者は、連絡の電子化に加え、学習の見える化を求めています。
約8割が情報共有の円滑化で指導改善に期待
「教員間の情報共有や記録管理がスムーズになれば、子どもへの対応や指導の質は向上すると思うか」という問いには、「大きく向上すると思う」15.3%、「ある程度向上すると思う」63.0%で、約8割が前向きに評価しました。
さらに、教員の負担軽減につながるなら簡略化・デジタル化してよいものとして、「紙でのプリント配布」39.4%、「通知表のデジタル化」37.7%、「電話での欠席・遅刻連絡」37.7%が挙がりました。一方で、「家庭訪問や個別面談の簡略化・オンライン化」は25.8%にとどまり、対面の価値が高い場面では慎重さも見られます。
学校DXは、何でもオンラインに置き換えればよいわけではありません。日常的で定型的な業務はデジタル化し、関係構築や支援の深まりに関わる場面は対面も活かす。この切り分けが、現場の納得感を高める鍵になりそうです。
💡 先生へのポイント
- まずは「欠席連絡」「配布物」「提出物管理」など、保護者の納得感が得やすい定型業務からDXを進める
- DXの目的を「効率化」ではなく「生徒と向き合う時間の創出」と共有すると、導入意義が伝わりやすい
- 情報共有ツールは増やすより、連絡手段の一元化を優先する
- 学習進捗や提出状況の可視化は、家庭との連携強化にもつながる
まとめ
今回の調査は、教員の多忙化が保護者にも広く認識され、その先に教育の質への不安が生じていることを示しました。学校DXを進める際は、単なるデジタル化ではなく、生徒との対話や個別支援の時間をどう増やすかという視点で、優先順位を設計することが重要です。
出典:「先生、余裕なさそう…」保護者から見ても実感する教員の多忙化。子どもへの教育の質に不安も、求められる改善策とは? | システックITソリューション株式会社のプレスリリース https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000006.000114813.html




