個別指導の学習塾「明光義塾」による保護者1,000名調査で、小中高生の約半数が勉強や宿題に生成AIを使っている実態が明らかになりました。AI活用が広がる一方、学校や塾には「自分で考える力」と人による伴走への期待が高まっています。
広がるAI活用と変わる学びの前提
学習現場でのAI活用が、家庭レベルでも一気に広がってきました。学習塾「明光義塾」を全国展開する株式会社明光ネットワークジャパン(東京都新宿区)が実施した保護者1,000名調査によると、子どもの48.6%が勉強や宿題で生成AIを利用していることが分かりました。内訳は「ほぼ毎日」12.0%、「週に数回」22.8%、「月に数回」13.8%で、すでに日常的な学習ツールとして定着し始めている様子がうかがえます。
今回の調査は、全国の小学5年生〜高校3年生の子どもを持つ保護者1,000名を対象に、2026年6月にインターネットで実施されたものです。学習アプリや動画教材に加えて生成AIが普及したことで、子どもの学び方は「調べる」「まとめる」「質問する」の各場面で変化しています。
注目したいのは、AIが単なる検索代替ではなく、学習の入口や伴走役として使われ始めている点です。勉強や宿題での利用が約半数に達したことは、学校や塾が「AIを使うかどうか」ではなく、「どう使わせるか」を考える段階に入ったことを示しています。
保護者が求めるのは「考える力・学ぶ姿勢」
生成AIが普及する中で、保護者が学校や塾に期待することの1位は「自分で考える力・主体的に学ぶ姿勢の育成」で38.3%でした。続いて「思考力・判断力・表現力の育成」33.5%、「学習習慣を身につけさせること」31.4%となっています。
この結果から見えるのは、保護者がAI時代においても、あるいはAI時代だからこそ、知識の量よりも学び方そのものを重視していることです。答えに早くたどり着ける環境では、問いを立てる力、出力を吟味する力、自分の言葉で表現し直す力がより重要になります。学校や塾には、正解を教える場から、思考のプロセスを設計する場への役割転換が求められそうです。
8割超が「人による指導は必要」と回答
一方で、生成AIや無料の学習コンテンツが広がっても、82.2%の保護者が「子どもの学習に人による指導は必要」と回答しました。「必要だと思う」が36.6%、「ある程度必要だと思う」が45.6%で、強い支持が見られます。
これは、AIが説明や要約、練習問題の作成には役立っても、子どもの理解度や感情、つまずき方に応じた声かけまでは十分に代替しにくいと考えられているためでしょう。特に、学習継続の動機づけ、成功体験の言語化、学習習慣の定着といった領域では、教員や講師の関わりが引き続き重要です。AI活用の推進と人の指導の維持は対立ではなく、役割分担として捉える必要があります。
子育て観にも表れる「主体性」重視
現代の子育てで最も重視していることとしては、「子どもの自主性を尊重すること」が44.8%で最多でした。次いで「子どもの気持ちに寄り添うこと」40.4%、「安全・安心な環境を整えること」37.1%が続きます。
教育現場にとっては、この保護者意識の変化も見逃せません。AIを禁止するか容認するかという二択ではなく、子どもが自分で使い方を判断し、必要に応じて大人が支える枠組みづくりが重要になります。家庭と学校・塾で、AI利用のルールや目的を共有する取り組みも今後ますます必要になるでしょう。
相談相手としてのAIは小学生にも広がる
勉強や日常生活の悩みについて生成AIを相談相手として使っている子どもに限ると、利用開始時期は「中学1年生」が17.4%で最多でした。ただし、「小学4年生以前」14.7%、「小学5年生」10.2%、「小学6年生」9.8%を合わせると、34.7%が小学生段階から利用している計算になります。
学習支援だけでなく、悩み相談の相手としてAIが入り込んでいる点は、学校現場に新しい論点を投げかけます。便利さの一方で、誤情報、不適切な助言、依存的利用、個人情報の扱いなどのリスクもあるため、情報モラル教育やAIリテラシー教育を教科学習と切り離さずに進める視点が必要です。
💡 先生へのポイント
- 宿題や探究で「AI使用可/不可」だけでなく、使用目的と記録方法を示す
- AIの回答をそのまま提出させず、「根拠確認」「言い換え」「自分の意見追加」を課題化する
- 面談や授業で、子どもがAIをどの場面で使っているかを把握する
- 情報モラルに加え、AIの限界や誤答を見抜く視点も指導する
- 人にしかできない承認や伴走の価値を、日々のフィードバックで可視化する
まとめ
今回の調査は、生成AIがすでに子どもの学習と生活に浸透し始めている一方で、保護者が学校や塾に求める役割はむしろ明確になっていることを示しました。AIを使いこなす力と、自分で考え学び続ける力、その両方を育てる設計がこれからの教育現場の鍵になりそうです。
出典:小中高生の約半数が勉強・宿題で生成AIを利用 保護者1,000名への調査で分かった「AI時代の学び」の実態 明光義塾調べ「子どもの学びの変化に関する実態調査」 | 株式会社明光ネットワークジャパンのプレスリリース https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000315.000071552.html




