兵庫県の青楓館高等学院がSHIFT AI社と連携し、高校生・大学生向けの生成AI特別セミナーを今年5月にオンラインで実施しました。通信サポート校がAIを“知る”段階から“使いこなす”学びへ進む際のヒントが見える事例です。
通信制高校サポート校の青楓館高等学院(兵庫県明石市・芦屋市)は、株式会社SHIFT AI(東京都渋谷区)と共同で、高校生・大学生を対象にした生成AI特別セミナーを2026年5月15日にオンライン上で実施しました。神戸市の後援を受けた今回の取り組みは、学校におけるAI活用の方向性を示す事例として注目されます。
通信サポート校だからこそ問われるAI時代の学び
同校は、生徒一人ひとりの個性や進路に合わせた支援を重視し、PBLや外部講師による授業を取り入れてきました。今回のセミナーもその延長線上にあり、AIを単なる流行技術ではなく、将来の学び方・働き方に直結するテーマとして扱っています。
通信サポート校では、多様な背景や学習ペースを持つ生徒に向き合う必要があります。そのため、正解を一斉に教える授業だけでなく、自分に合った方法で理解を深め、社会との接点を持てる学びの設計が重要です。AIは、その個別最適化や探究の伴走役として相性がよい一方、使い方次第で学びの質に差が出やすい領域でもあります。
セミナーが示した「AIに代替されない力」
登壇したのは、SHIFT AI社で「SHIFT AI Junior」プロジェクトマネージャーを務めるHakushi氏。講演では、AI時代に人が磨くべき力として、特に3つの視点が示されました。
1つ目は「行動力」です。AIに仕事が奪われるという漠然とした不安ではなく、AIを使える人と使えない人の差が広がるという現実を踏まえ、まず触って試す姿勢の重要性が語られました。
2つ目は「翻訳力」です。難しいAIの概念や情報を、相手に伝わる言葉へ置き換える力は、教育現場でも社会でも価値が高いとされます。これは通信サポート校が育ててきた、自己表現や対話の力とも重なります。
3つ目は「教える前提で学ぶ」ことです。AIとの壁打ちを通じて、自分が理解した内容を他者に説明できる状態まで深める。この学び方は、知識の定着だけでなく、非認知能力の育成にもつながります。
通信サポート校の実践として見る意義
同校は、一般社団法人教育AI活用協会の「AI先端モデル校」として、AIを学習プロセスに積極導入している点が特徴です。今回のセミナーでは、AIを「答えを出す機械」ではなく、「思考を深める相棒」として位置づけました。
この考え方は、通信サポート校にとって特に重要です。学び直しや進路再設計を支える現場では、生徒が自信を失っていたり、将来像を描けていなかったりすることも少なくありません。そうした中で、AIを使って自分の考えを整理し、表現し、他者に伝える経験は、学力支援にとどまらない自己効力感の回復にもつながり得ます。
また、学校内だけで閉じない点も見逃せません。当日は青楓館の生徒に加え、県立高校や大学の学生も参加したとされ、地域や学校種を超えた学びの場になりました。通信サポート校が外部機関や行政と連携しながら学習機会を拡張する動きは、今後さらに広がりそうです。
進路支援にもつながる「翻訳者」という視点
今回のテーマの中でも、通信サポート校の進路指導に応用しやすいのが「翻訳者という生き方」です。ここでいう翻訳者は、外国語の翻訳に限らず、専門知識をわかりやすく橋渡しする役割を指します。
AI時代には、知識そのものよりも、それを相手に合わせて編集し、届ける力の価値が高まります。これは、プレゼンテーション、レポート作成、面接、探究発表など、多くの学習活動と接続できます。通信サポート校で重視される個別支援や対話型指導とも親和性が高く、生徒の得意を進路に結びつける観点としても有効です。
💡 先生へのポイント
- 通信サポート校では、AIを「課題を早く終わらせる道具」ではなく「思考整理の相棒」として位置づけると導入しやすい
- 生徒にAI活用を教える際は、「答えを聞く」より「説明できるまで対話する」使い方を促す
- 進路指導では、AIスキルそのものより「伝える力」「翻訳する力」と結びつけて価値づけすると実感につながりやすい
- 外部講師や地域連携を活用し、学校外の視点を入れることで学びの意味づけが深まる
まとめ
今回の産学の取り組みは、通信サポート校におけるAI活用が、単なるICT導入ではなく、生徒の主体性や進路形成を支える学びへ広がっていることを示しました。AI時代に必要なのは、技術を恐れることではなく、自分の言葉で使いこなし、社会とつなげる力だといえそうです。
出典:青楓館高等学院と株式会社SHIFT AIが共同でAI特別セミナーを実施。「AI時代に求められる能力と翻訳者という生き方」を語る。 | 株式会社青楓館のプレスリリース https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000036.000106384.html




