この度のDeltaX社の調査で、高校生の生成AI利用がほぼ常態化し、恋愛・人間関係ではAIが最も相談しやすい相手に選ばれました。学校現場では、AIと人の役割分担を前提にした相談支援と学習設計の重要性が見えてきます。
高校生のAI利用が学習支援の枠を超えて…
株式会社DeltaX(東京都千代田区)が高校生104人を対象に実施した調査では、生成AIを使ったことがある生徒は96.2%に達し、49.0%が週に数回以上利用していると回答しました。もはや一部の先進的な生徒だけのツールではなく、日常的な選択肢として広がっている状況です。
相談内容で変わる!AIと人の使い分け
今回の調査で特に注目されるのは、悩みの種類によって相談先が明確に分かれている点です。恋愛・人間関係の悩みでは、生成AIが44.2%で最多となり、友人・先輩の26.0%を上回りました。
背景には、AIに対する心理的安全性があると考えられます。否定される不安や噂になる心配が少なく、24時間いつでも気兼ねなく話せることが、高校生にとって大きな価値になっているようです。言葉になりきらない感情や、まだ整理できていない悩みを吐き出す相手として、AIが機能している実態がうかがえます。
一方で、進路や志望校の相談では傾向が逆転します。誰にも相談しない生徒を除いた84人のうち、相談先の上位は「保護者・家族」34.5%、「学校の先生」31.0%で、生成AIは13.1%にとどまりました。将来の選択のように、現実的で責任の重いテーマでは、自分を理解している大人や経験に基づく助言を求める生徒が多いことがわかります。
学習では「答え」より「解説」を求める傾向
生成AIの利用目的は「勉強以外の検索・調べもの」が56.0%で最多でしたが、「悩み相談や話し相手」も50.0%に達しました。学習面では、「学校の宿題や課題」「定期テスト対策」がいずれも31.0%で、一定の活用が進んでいます。
具体的な使い方を見ると、「わからない問題の解き方や解説を聞く」が56.0%で最も多く、「検索ツールの代わりに使う」41.0%、「要約や翻訳」33.0%が続きました。「答えだけをすぐに出してもらう」は21.0%にとどまり、少なくとも自己申告ベースでは、丸写しよりも補助的な活用が主流です。
また、学力が「向上した」「やや向上した」と感じる生徒は計58.0%でした。自由記述では、AIに問題作成や学習計画を任せ、自分は演習に集中するといった使い方も見られます。学習成果を高める鍵は、AIを代行者ではなく、準備や理解を支える伴走ツールとして使えるかにありそうです。
依存感と失敗経験も現場が向き合うべき論点
便利さの裏側として、AIへの依存を「とても感じる」「やや感じる」と答えた生徒は57.0%にのぼりました。さらに、14.0%はAI利用で注意されたり失敗したりした経験があると回答しています。
失敗例としては、課題へのコピペ提出、根拠を理解しないままアイデアを使う、作文で自分の意見が薄くなるといったケースが挙がりました。これは単なるルール違反の問題ではなく、AI出力と自分の思考の境界が曖昧になりやすいことを示しています。
教育現場に求められるのは、一律禁止ではなく、使い方の質を問う指導です。どこまでをAIに任せ、どこからを自分で考えるのか。出力の妥当性をどう確かめるのか。こうしたメタ認知を育てることが、今後の情報活用能力や学習者の自立に直結します。
学校・塾が再定義したい「人にしかできない支援」
今回の結果は、AIが教員や保護者の代わりになることを示したものではありません。むしろ、AIが引き受けやすい役割と、人にしか担えない役割が可視化されたと見るべきでしょう。
AIは、即時性、匿名性、反復的な説明、感情の受け止めの入口として強みがあります。一方で、進路選択のように本人の特性や文脈、経験を踏まえた助言、責任を伴う判断支援は、依然として大人の重要な役割です。
学校や塾では、AIを敵視するのではなく、生徒が「AIに聞くとよいこと」と「人に相談すべきこと」を整理できるよう支援することが重要です。その視点は、学習指導だけでなく、生徒指導や進路指導の設計にも影響していくはずです。
💡 先生へのポイント
- 恋愛・人間関係の悩みは、まずAIに吐き出している可能性を前提に面談設計を考える
- 宿題・作文では「AI使用の有無」だけでなく、「どう使い、何を自分で考えたか」を確認する
- 解答提出より、説明・根拠・振り返りを求める課題にするとAI活用の質を見極めやすい
- 進路指導では、情報提供よりも「本人理解に基づく伴走」が人の価値になりやすい
まとめ
高校生にとって生成AIは、学習補助だけでなく、気軽な相談先としても定着し始めています。一方、進路のような重要な意思決定では、依然として保護者や先生への信頼が強く、AIと人の役割分担はすでに始まっています。
教育現場では、AI利用の可否を議論する段階から一歩進み、何をAIに任せ、何を人が支えるのかを明確にすることが求められています。
出典:高校生の恋愛・人間関係の相談、相手はChatGPTなどのAIが1位に | 株式会社DeltaXのプレスリリース https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000136.000116808.html




