東京にあるハイレゾ社と早稲田文理専門学校が今年5月から、画像生成AIを使った実践教育プログラムの提供を開始しました。生成AI教育を“ツール導入”で終わらせず、産学連携で評価基準まで設計するモデルとして、学校・塾のカリキュラム設計の参考になりそうです。
産学連携で“使えるAI教育”を設計
株式会社ハイレゾ(東京都新宿区)と早稲田文理専門学校(東京都豊島区)は共同で、画像生成AIを活用した実践的な教育プログラムを開発し、2026年5月から提供を始めています。対象は同校の「生成AI・デジタルクリエイター学科」で、ブラウザから利用できる画像生成AIサービス「PICSOROBAN」を使いながら、実務に近い形で学ぶ構成です。
今回の取り組みの特徴は、単に生成AIツールを授業に導入するのではなく、産業側と教育側が役割を分担してカリキュラムを共同設計している点です。企業がAI業界の最新動向や実務課題を提供し、学校が学生の到達目標や学習設計を担い、さらに評価基準まで含めて組み立てています。
この設計思想は、生成AI教育で起こりがちな「触って終わり」「作品はできたが、何を習得したのか測れない」という課題への対応として注目できます。教育機関にとっては、実務性と教育的妥当性を両立する一つのモデルといえそうです。
クラウド型の画像生成AIで環境整備の負担軽減
授業で使う「PICSOROBAN」は、Stable Diffusionをブラウザから利用できるクラウド型サービスです。高性能GPUを備えたPCや専用ソフトのインストールが不要で、手元のPCから高品質な画像生成や編集を行えるのが特徴です。
学校現場では、生成AIの授業を始めたくても、端末性能や環境構築がボトルネックになりがちです。その点、クラウド利用を前提とした構成は、設備差の影響を抑えやすく、授業実装のハードルを下げます。特に専門学校や高校、クリエイティブ系コースでは導入検討の余地があるでしょう。
第2回授業ではプロンプト設計を実践
6月2日に実施された第2回授業では、「仕組みを知って、狙った絵を作る」をテーマに、プロンプトの考え方を学ぶ演習が行われました。内容は、5W1Hや構図の指定だけでなく、不要な要素を除く「ネガティブプロンプト」まで含む、より論理的な画像生成のコントロールです。
学生は講師の説明を受けながら、自らプロンプトを組み立てて画像を生成し、試行錯誤を重ねました。生成AI教育では、結果の面白さに目が向きやすい一方で、再現性のある指示設計を学ぶことが実務力につながります。今回の授業は、その点を意識した内容だったといえます。
受講した学生からは、「シンプルな指示だけでなく細かなプロンプト設計の重要性が分かった」「ゲーム制作のテクスチャー作成にも応用できそう」といった声が出ています。また、ネガティブプロンプトの活用によって、AI生成物の完成度を高め、人手での修正負担を減らせる可能性に言及するコメントもありました。
他校展開を見据えた教育モデルとしての可能性
同社はこのプログラムについて、他の教育機関への水平展開を想定しているとしています。特徴として挙げているのは、産学連携モデルの体系化、実務即戦力となるスキル習得の実証、教育効果の可視化と評価基準の確立です。
生成AI分野は変化が速く、学校単独で最新動向を追い続けるのが難しい領域です。そのため、企業と連携しながらカリキュラムを更新し、授業・演習・評価をセットで設計する仕組みは、今後の職業教育や探究学習、情報教育にも応用可能です。特に「何をもって習得とみなすか」を明確にする視点は、導入校が増えるほど重要になります。
💡 先生へのポイント
- 生成AI授業は、作品制作だけでなく「指示設計の再現性」を評価軸に入れると学習成果を測りやすくなります。
- 高性能PCが不要なクラウド型ツールは、授業実装のハードルを下げる選択肢になります。
- 企業連携を行う場合は、最新技術の紹介だけでなく、到達目標と評価基準を学校側と共同設計することが重要です。
- クリエイティブ分野では、ゲーム素材、広告案、デザインラフなど具体的な活用場面と結びつけると学習効果が高まります。
まとめ
今回の産学連携の取り組みは、生成AI教育を単発の体験で終わらせず、実務と接続した学びへ発展させる事例です。環境整備のしやすさ、企業との共同設計、評価まで見据えた構成は、生成AIカリキュラムを検討する教育機関にとって参考になるポイントが多いといえるでしょう。
出典:【産学連携モデル】ハイレゾと早稲田文理専門学校が共同開発。画像生成AI実践教育プログラムを提供開始 | 株式会社ハイレゾのプレスリリース https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000139.000058027.html




