この度、鳥取県で教育特化型生成AI「スクールAI」の活用が令和8年度も継続され、対象生徒数が365名から650名へ拡大しました。英会話練習と英作文添削を通じた「話す・書く」力の強化に加え、教員の指導改善にどうつながるかを整理します。
英語教育強化へ…拡大の対象と実施内容
鳥取県において、株式会社みんがく(東京都中央区)の教育特化型生成AIサービス「スクールAI」の活用が令和8年度も継続されることになりました。昨年度は文部科学省「AIの活用による英語教育強化事業」の一環として県内中学校365名を対象に実践されていましたが、本年度は3校・650名へと対象を拡大。自治体レベルでの生成AI活用が、単発実証から継続運用へ進んでいる点が注目されます。
今年度の対象校は、智頭町立智頭中学校、倉吉市立西中学校、米子市立尚徳中学校の3校です。生徒はAIとの英会話練習や英作文の添削に取り組み、英語技能のうち特に「話す」「書く」の向上を目指します。
特徴は、生徒が時間や場所に縛られず、自分のペースで反復練習できることです。対人では緊張しやすいスピーキング練習も、AI相手であれば試行回数を確保しやすく、書く活動でも即時フィードバックを受けながら修正を重ねられます。授業内だけでは不足しがちなアウトプット量を補う仕組みとして位置づけられそうです。
教員にとっての価値は「学習ログの可視化」
今回の取り組みは、生徒向けの個別学習支援にとどまりません。教員は生徒の学習履歴、対話ログ、学習状況を確認できるため、理解度やつまずきに応じた指導がしやすくなります。
英作文でどの文法項目に誤りが多いか、会話練習でどの表現を避けがちかといった傾向が見えれば、授業で扱う内容や補充指導の優先順位も定めやすくなります。生成AIの導入が授業外学習の支援だけでなく、授業改善の材料を増やす役割を持つ点は、学校現場にとって大きな意味があります。
継続導入が示す、実証から実装への一歩
鳥取県では昨年度の実践を踏まえ、今年度も継続して導入する判断をしました。対象人数を増やして運用を続けるという事実は、生成AIを単なる話題性のあるツールではなく、教育活動の中で検証可能な学習支援手段として扱っていることを示しています。
特に英語教育では、個別に話す・書く機会を十分確保することが難しいという課題があります。生成AIはこのボトルネックに対し、練習相手と即時フィードバックの両面からアプローチできます。自治体や学校が導入効果を見る際には、学力指標だけでなく、発話量、提出回数、修正回数、学習継続率などのプロセス指標にも注目したいところです。
安全性と現場実装の観点
同社によると、「スクールAI」は文部科学省ガイドラインに準拠し、Microsoft Azure環境を基盤として提供されています。学校で生成AIを扱う際は、学習効果だけでなく、個人情報や利用ルール、教員が管理できる運用設計が重要です。
また、同サービスは英作文、英会話、小論文対策などの学習アプリを教員自身が作成できる仕組みも備えているとされます。既製アプリの利用だけでなく、学校や教科の実態に合わせてカスタマイズできるかどうかは、今後の定着を左右するポイントになりそうです。
💡 先生へのポイント
- 英会話練習は「授業前のウォームアップ」「家庭学習」「定期的な発話課題」に分けて設計すると活用しやすい
- 英作文添削は、AIの修正結果をそのまま採用させるのではなく「なぜ直したか」を説明させる活動と組み合わせたい
- 学習ログは評価資料というより、つまずき把握と次時の授業改善に使うと効果が出やすい
- 導入時は利用目的、禁止事項、個人情報の扱いを生徒と明確に共有しておくことが重要
まとめ
今回の鳥取県の事例は、生成AI活用が実証段階から継続運用へ進みつつあることを示す動きです。英語の「話す」「書く」を支える個別練習基盤としてだけでなく、学習ログを活用した指導改善の仕組みとして、今後ほかの自治体や学校にも参考になる取り組みといえそうです。
出典:株式会社みんがく、鳥取県におけるスクールAIの活用を継続 対象生徒数を650名へ拡大 | 株式会社みんがくのプレスリリース https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000185.000079497.html




