この度のソニー生命による中高生調査2026では、生成AIの利用が中高生で約8割に達し、将来像では「安定した毎日」と「好きなことを仕事にする」の両立を志向する傾向が見えました。進路指導や探究、情報活用指導を考える教員にとって、今の生徒理解に役立つデータとなりそうです。
中高生の将来への不安と前向きさが同居
ソニー生命保険株式会社(東京都千代田区)が全国の中高生1,000人を対象に2026年6月実施し、7月に公表した「中高生が思い描く将来についての意識調査2026」では、将来不安を抱えつつも、自分自身の10年後には比較的前向きな見通しを持つ姿が浮かびました。学校現場にとって注目したいのは、進路観・生活観・生成AI活用が相互に結びついている点です。
10年後の自分について「明るい」とみる生徒は、中学生58%、高校生55%でした。一方で、10年後の日本に不安を感じる割合は中学生69%、高校生69%、世界に不安を感じる割合も中学生67%、高校生68%と高水準です。
つまり、生徒は社会全体には不安を抱きながらも、自分の人生については一定の希望を持っています。進路指導では、社会課題を過度に悲観させるのではなく、「変化の中でどう生きるか」を考える支援が重要だといえます。
進路観は「安定」と「好き」の両立へ
将来の夢では、中学生の1位が「好きなことを仕事にする」、高校生の1位が「安定した毎日を送る」でした。高校生では「趣味を充実させて生きる」も上位に入り、仕事一辺倒ではない人生設計を重視していることがうかがえます。
職業希望では、男子中学生で「ITエンジニア・プログラマー」が2017年以来の1位に返り咲きました。高校生では男女ともに「公務員」が1位で、安定性や福利厚生、地域貢献への関心が理由として挙がっています。女子高校生では「会社員」「看護師」「教師・教員」、男子高校生では「ITエンジニア・プログラマー」「YouTuberなどの動画投稿者」も上位に入り、堅実さと自己表現の両面が見られます。
生徒が職業を選ぶ理由には、「ゲームが好き」「モデルを目指している」「地域に貢献したい」「安定した給料がほしい」など、興味・憧れ・現実性が混在しています。職業調べでは、仕事内容だけでなく、価値観や働き方、学びとの接続を可視化することが効果的です。
大学進学希望は約3人に2人
「高校卒業後は大学に進学したい」と答えた割合は、中学生65.5%、高校生65.6%で、いずれも約3人に2人でした。一方で、高校生では学年が上がるほど大学進学希望率が低くなる傾向も示されています。
この結果は、進学希望が固定的ではなく、学年進行とともに現実的な選択へ揺れ動くことを示します。早期から大学進学のみを前提化するのではなく、専門学校、就職、公務員試験など複線的な進路情報を提供することが、生徒の納得感につながります。
AIは「学習」と「相談」のインフラに
生成AIの使用率は中学生77%、高校生79%と、すでに多数派です。用途の最多は中高生ともに「学習に関する調べもの」で、中学生66.2%、高校生70.0%でした。
注目すべきは「悩み相談」の利用です。全体でも4割超に達し、特に女子では中学生56.3%、高校生54.7%と半数を超えました。生成AIは単なる検索補助ではなく、学習支援と心理的な壁打ちの両方を担う存在になりつつあります。
学校では、AI利用を禁止か容認かの二択で考えるのではなく、問いの立て方、回答の検証、個人情報やセンシティブな相談への注意といった情報モラル教育を組み合わせる必要があります。生徒がAIを使っている前提で授業設計や課題設計を見直す段階に来ています。
人間関係の揺らぎも読み取れる
自分を「陽キャ」だと思う割合は中学生で53%でしたが、高校生では「陰キャ」が56.3%と逆転しました。また、「学校の友達の前では自分のキャラを作っている」は中学生64%、高校生53%にのぼります。
さらに、「親は自分のことをわかってくれている」は中学生76%、高校生69%、「担任の先生は自分のことをわかってくれている」は中学生65%、高校生59%でした。一定の信頼はあるものの、年齢が上がるにつれて理解されている感覚が弱まる傾向も見えます。
進路や生活指導では、表面的な発言だけで生徒像を決めつけず、自己演出や言いにくさを前提に対話する姿勢が求められます。
💡 先生へのポイント
- 進路指導では「安定志向」と「自己実現志向」を対立させず、両立可能な進路設計として扱う
- 職業調べにAI・公務員・クリエイティブ職をバランスよく入れ、憧れと現実の両面を考えさせる
- 生成AIは利用実態を前提に、出典確認・事実検証・相談時の注意を教える
- 生徒理解では「社会不安は強いが自己の未来には希望を持つ」という二面性を押さえる
- 面談では、本人の言葉の背後にある「安心したい」「認められたい」というニーズも拾う
まとめ
今回の調査からは、中高生が不安定な社会を見つめつつも、自分らしさと安定を両立した将来を模索している姿が見えてきます。学校現場では、進路指導、探究、情報活用、相談支援を切り分けず、生徒の実態に即した一体的な支援へつなげることが重要です。
出典:中高生が思い描く将来についての意識調査2026 | ソニー生命保険株式会社のプレスリリース https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000430.000003638.html




